ぼくは猟師になった

2008年発行の「ぼくは猟師になった」をご紹介します。作者の千松信也さんは1974年生まれの兵庫県出身で、京都大学在籍中に罠猟・網猟を始め、運送会社で働きながら猟師として生活されている方です。

この本では、千松さんが狩猟を始めるようになるまでの経緯や、実際の狩猟の様子、解体、料理のレシピまで詳しく書かれています。千松さんは京都大学在籍中に狩猟を始められたそうですが、京都大学といえば誰もが知る大学です。それほどの学歴を持ちながら、現代では衰退しつつある「狩猟」に取り組まれています。一般的に言うと、かなりの変わり者(失礼)と言われそうです。

しかし、私はそうは思いませんでした。本の帯には「僕を含め多くの猟師が実践している狩猟は、自分で食べる肉は自分で責任を持って調達する、という生活の一部のごく自然な営み」と書かれています。多くのハンターは同じ考えだと思います。私自身、サラリーマンとして給料をもらっている身ですから、基本的に生活していくのに困るということはありません。肉や魚はスーパーに行けばいくらでも買えます。それでもやはり、男を惹きつける魅力が狩猟にはあります。

ちなみに、千松さんは罠・網がメインで銃猟はされていません。本書によると、「文明の利器である鉄砲を使うのには漠然とした抵抗感がありました。なんとなくずるい、と。それに比べてワナ猟は動物との原始的なレベルでの駆け引きという印象で、魅力を感じていました。」とあります。なんとなく、わかります。私の場合、どちらかというと逆の感覚で、ケモノ道を通る動物をワナで捕えるというのは、なんとなくずるい、ような気がします。

ま、そんなことは人の主観によるものなので、それぞれ好きなスタイルで狩猟を楽しめばいいのですが、この本は私のように銃猟専門であっても楽しめることは間違いないです。

この本は、現代における猟師のあり方のひとつを示していると思います。

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